「母はいつまで母なのか」

【娘の妊娠で気づいた距離感】

娘が妊娠してから、ふと考えることがある。

母は、いつまで「母」なのだろうか。

子どもが小さい頃は、守ることが役目だった。

転ばないように手を引き、熱を出せば一晩中そばにいた。

判断も決定も、ほとんどが親の役割だった。

けれど今、娘は大人になり、家庭を持ち、母になろうとしている。

立場はもう対等に近い。

それでも「心配する気持ち」だけは、何も変わらない。

妊娠4ヶ月。安定期前。

体調は日によって違う。

仕事も続けている。

医学的には安定期は16週頃からとされるが、

それまでは流産の確率もゼロではない時期だと説明されている。

40年前、私が妊娠していた頃も不安はあった。

ただ、今ほど情報が多くはなかった。

現在は、症状やリスクにについてすぐ調べられる。

正確な情報も多いが、同時に不安を増幅させる要素も少なくない。

時代によって、不安の質は変わっているように感じる。

働きながら妊娠期を過ごす女性も増えている。

制度面では母性健康管理の配慮が整備され、以前より

守られている部分は多い。

それでも実際には、

業務への責任、周囲への配慮、体調との折り合いなど、

複数の負担を同時に抱えることになる。

親としてできることは限られている。

体調を代わることはできないし、

不安を完全に取り除くこともできない。

だからこそ、今の母の役割は「支える」よりも「見守る」に近いのかもしれない。

必要以上に踏み込まず、

求められたときに応える。

経験はある。

しかし、その経験がそのまま今の正解とは限らない。

母であることは続く。

ただ、そのかたちは変化していく。

娘の妊娠は、

親子関係の距離をあらためて考える機会になっている。

役目は終わらない。

ただ、かたちが変わっていくだけなのだと思う。

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